アジカンの新譜「Wonder Future」がリリースされた。
本作のジャケットは「Easter/復活祭」に続いて絵なし。真っ白。
これは自分の中では結構センセーショナルな出来事であった。
Easter/ASIAN KUNG-FU GENERATION
そもそも、中村佑介さんの描くジャケットはアジカンの代名詞でもあり、デビューからずっと追いかけてきたアジカンのイメージとは切っても切り離せない存在である。
Easterのリリース時に真っ黒なジャケットを見て「アジカンもとうとうあのジャケットと決別したか…」と思ったのだが、どうも単純に「方針転換したので今後はイラストは使いません」という話ではないようで、アルバムをセルフプロデュースしたボーカル:ゴッチの意向により、本作には真っ白のジャケットを採用したとのことである。
ブログを見たところ中村さんとの関係は続いているようで、区切りをつけたわけではなさそう。
真っ黒のジャケットにバンド名を墓標のように浮き上がらせた「Easter/復活祭」は、曲名のとおり”復活”を意図していると、本人は語っている。
また、白いジャケットには「リスナーそれぞれが思い思いのジャケットを描いて欲しい」との意思を込めたとのこと。
それで、本作の初回購入特典はカラーペンとなっているらしい。
音楽の持つ魅力は単に聴こえる音のみに拠るものではなく、例えばCDのジャケットやバンドのビジュアルであったり、タイアップした映画やCMのイメージだったり、それを聴いた時の自分の心象であったり、様々なものから成立していると思うけれども、あらためて真っ白なジャケットを見て、色々と感じるところはある。
単色で塗っただけのシンプルなジャケットには様々な例があるが、”白”というチョイスは強烈なインパクトを持っている。
すぐに思い浮かぶのはやはり、The Beatlesのホワイトアルバム。
ホワイトアルバムは、ビートルズが既存のレーベルから離れ、自身で立ち上げたアップルレコードから初めてリリースした作品である。
真っ白いジャケットからは、新たなスタートといった印象を受ける。
あらためてアジカンのジャケットについて考える。
中村佑介氏のイラストは好きだったけれども、二次元であるが故にどうしてもイメージの広がりみたいなものがなくて、どこか無機質な印象を受けていたのも事実である。
自分の中でのこの傾向は特に、イラストがシンプルだった初期の作品で顕著だ。
例えば「君繋ファイブエム」は、全体を通して”青みがかったモノクロ”のイメージが強い。
イラストのない本作も十分に無機質であるが、イメージが与えられない分自分で想像するしかないわけで、結果としてイラストを用いていたこれまでのアルバムよりも余程、生気の感じられる作品になったと感じている。
Vo.ゴッチの日記:中村君と会食。アルバムのジャケットについて
http://6109.jp/akg_gotch/?year=20150521
ちなみにゴッチ自身は、中村氏に即興でジャケットを描いてもらった模様。
なお余談であるが、数あるジャケットの中で自分が一番好きなのは、シングルの「サイレン」。
白、黒、オレンジの三色からなるシンプルなものだが、曲のイメージをうまく表現できている。
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