2012/11/18

個人的に思い入れの強いバンド/Keane



ボーカル&キーボード&ドラムの3人組による、ギターレスの3ピースバンドという特異な組み合わせでデビューしたKeane。
2012年には通算5枚目のアルバムであるStrangelandをリリースし、先日、渋谷AXにて行われたライブもなかなかの盛況であったとのことである。

個人的には、初めて購入した洋楽のCDが彼らの1stアルバム:Hopes And Fearsであったこともあり、バンドに対する思い入れは強い。

出会いは、たまたま聴いていたラジオで流れたEverybody's Changingの一節「So little time, try to understand that I'm」を聴いたことであった(Glastonbury festivalsの特集にて、ニューカマーの一人として紹介されていたのだ)。
聴いた瞬間に"体中に鮮烈な衝撃が走った"…とかそういった類の特別な経験ではなかったが、まだ高校生で、背伸びをして努めて洋楽を聴こうとしていた当時の自分に、そのメロディが何かを感じ取らせたことはよく覚えている。
直後に発売したデビューアルバムを、あまり潤沢とは言えない小遣いから捻出したお金で購入した。

彼らのアルバムの中からベストを選べと言われたら、自分は間違いなく2ndアルバム:Under the Iron Sea(邦題:アンダー・ザ・アイアンシー〜深海〜)を挙げる。

Keaneは、デビュー当初から美メロやピアノロックといった言葉で形容され、曲の持つ美しさによって注目を集めていた。
実際、メロディは美しく、1stアルバムは全曲"聴ける"アルバムであった(凡庸なアルバムには必ず1、2曲は退屈な曲が混じっているものだが)。

1stアルバムの成功後、バンドは自らのイメージに悩み、世の中の多くのバンドがそうするように、2ndアルバムを作ることによって1stからの脱却を図ろうとした。

2ndアルバムでまず印象に残るのが、#2:Is It Any Wonder?であるが、当時、ボーカルのトムはこの曲を"Rock'n Roll Beast(ロックンロールの野獣)"と表現していた。
野獣と呼ぶには些か野蛮さにかけると思ったが、激しくエフェクトをかけた独特のキーボードの音などは、1stアルバムのイメージを覆すには十分であり、この作品の持つ、陰鬱さを交えたおとぎ話のような世界観においては、うってつけの野獣であった。
アルバムの世界観は#1:Atlanticにより作られ、最後を締めくくる#12:The Flog Princeまで、一貫している(日本盤には#13:Let It Slideの収録がある)。
ジャケット画像の印象も相まって、アルバムを通して聴くことに、まるで一つの絵本を読んでいるかのような心地良さがある。
歌詞の内容こそKeaneらしいが、全編通じて非常に良く統一された、質の高いコンセプトアルバムである。

詳細については別の機会にしたいが、この、不思議な世界観を持ったアルバムを、個人的にはとても気に入っている。

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