2013/04/22

毒されそうな音楽/Foals

不穏なメロディが耳について離れない。
何の曲かと思っていたら、FoalsのBaloonsであった。

Baloons/Foals

公式のPVは以下のリンクからも。
http://www.youtube.com/watch?v=zHcOFmiswcQ
奇妙な動きもなかなかだが、間奏部分で流れるメロディが相当に印象に残る(上の動画で1:44以降)。
こういう曲を作るバンドってなかなかいないと思うのだ。

そして、Foalsといえば、この曲。


Cassius/Foals

こちらのPVもなかなか。天井からぶら下がった肉塊(心臓?)が何を意味しているのかは分からないが、バンドの特徴的なダンスも面白い。
どちらもデビュー作であるAntidotesより。
アルバムタイトルの意味は、解毒剤。
こんな曲を聴かされたら、逆に毒されそうな気がしないでもない。
ジャケットもなかなかに奇妙。

最近の曲は全くチェックしていなかったのだが、聴いてみるとどうも平凡になってしまっている気がする。
やはり、1stの頃の非凡な感じが良い。

最新アルバム:Holy Fireからの数曲は、以下のリンク(バンドの公式サイト)にて視聴できる。
http://www.foals.co.uk/video.htm

フォールズは、イングランドオックスフォード出身のロックバンド。テクニカル且つダンサブル曲調が持ち味。2008年に発表したアルバム『アンチドーツ 』でUKチャート3位を獲得。ブラーやR.E.M.等の前座も経験している。(Wikipediaより) 

2013/04/21

最近のブーム:Vampire Weekend

http://www.vampireweekend.com/

Vampire Weekendにハマっている。
ごちゃごちゃして有機的で、時に優美で、エッジの聴いている曲は良いし、バック・トゥ・ザ・フューチャーとか言われているボーカルのルックスも良し、ジャケットや公式サイト等含めたイメージも格好いい。
特に気に入っているのは、以下のPV。

Cousins/Vampire Weekend

また、今年のコーチェラでのライブの様子も、Youtubeにアップされている。



さらに、発売日が1週間ほど延期になり、5月13日にリリースされる予定の3rdアルバム:Modern Vampires Of The Cityより、2曲の新曲が先行公開されている(冒頭リンクの公式サイトにて、2曲とも視聴可能)。
古きアメリカンロックの雰囲気に、彼ららしい畳み掛けるようなリズム、不穏な管楽器の音を乗せたDiane Young、クラシカルでノスタルジックな雰囲気で、彼らには珍しいストレートな良曲であるStep。

新作が楽しみでならない。

2013/04/18

アルバムレビュー:Comedown Machine/The Strokes



Comedown Machine、傑作である。
リリースされてからというもの、安定して聴き続けている。

本作と同じ傾向を持つ前作:Anglesは、当初、真新しさと意外性によって興味を引くものであったが、長い期間に渡って聴き続けられるものではなかった。
特に気に入った#2:Under Cover of Darknessは何度も繰り返し聴いたが、しばらく経つとそれにも飽きてしまい、その後、アルバムを聴こうとする機会はあまりなかった。
バンドのイメージを覆す音楽性に革新性こそ感じたが、アルバム全体としてまとまりがなく、その完成度は一つの作品として長い間寄り添うことには耐えられなかったのだ(まとまりのない点は、Anglesというタイトルから考えると批判すべきところではないかもしれないが)。

今作はどうであろう。
以前書いたように、パッケージングは至ってシンプルであり、新しく撮られたPVもないため、アルバムに対する視覚的なイメージはジャケットに用いられている赤い色くらい浮かばない。
しかし、それが逆に曲ごとへの関心を際立たせるのか、全体としての印象は悪くない。
逆説的であるが、曲ごとの繋がりがない故に作品としてうまくまとまっているとも感じる。
アルバムを通して収録された順に聴くようなものでもないだろうが、なぜかシャッフルする気になれない。
言わずもがな、ストロークスの他のアルバムと合わせて聴こうという気にもならない。

それくらい、一つの作品としての存在感が大きいと感じた。

バンドのメンバーが各々のスタイルを持って曲を作り始めた前作からの手法が、ようやく身を結んだといったところか。
曲ごとがバラバラでうまくまとまらなかった前作とは違い、本作はそういった手法をバンドの色としてうまく昇華できている。

各曲のレビューを書く。


#1:Tap Out
曲の始まりに挿入されるギターの音が、まず、1stアルバム:Is This It?の一曲目:Is This Itを思わせる。無機質に、忙しなく鳴らされるギターのリズムに、緩慢なメロディ。当初、背景には不穏な雰囲気の電子音が流れているのだが、サビの前でそれらがすっと消え、急に音がクリアになるところが気に入っている。落ち着いていてシンプルな曲のようでありながら、よく聴くと凝ったつくりをしていることが分かる。

#2:All The Time
意外性のある一曲目に対して、安定的でストロークスらしい曲。懐古的である。イントロのギターやサビのメロディなど、旧来のストロークスを思わせる。アルバムの先行シングルでありながら、良い意味で際立った存在感がない。

#3:One Way Trigger
テンポの良いラテンテイストの曲。ささやくようにスッと入ってくるイントロが、この曲のスケール感を大きく感じさせる。初めて聴いたときは癖の強い曲だと思ったが、何度も聴いているうちに馴染んできた。初回のサビの前、少し間を開けてカチカチと鳴らすところが駆動する機械のようであり気に入っている。Julian Casablancasの公式サイトにアップされていたイメージ画像(画像のリンクは切れているが、バンドの公式サイトにて閲覧可能)のごとく、荒野を駆け抜ける少しレトロなイメージ。

#4:Welcome To Japan
怪しげな印象に一聴してはまった曲。Japanと聞いて、電飾の盛んな新宿あたりの繁華街をイメージした(喧騒ではなく、あくまで映像として)。サビのメロディやジュリアンの囁き(Oh welcome to Japan! Scuba-dancing! Touch down!)は癖になる。

#5:80's Comedown Machine
アルバム中最もスローなテンポの曲。深く潜っているかのような感触がある。雰囲気は3rdアルバムの#7:Ask Me Anythigに似ている(聴き比べてみると、こちらの曲の方が余程複雑な造りをしており、図らずもバンドの変化を感じることとなった。3rdアルバムはゴテゴテしたイメージであったのだが)。

#6:50/50
アップテンポで格好いい。急かすようなギターと、合いの手のように少し遅れて入るギターとの合わせが心地よい。曲の雰囲気は1stの9曲目:New York City Copsに近いものがある。

#7:Slow Animals
シックな雰囲気の曲。全体的に暗いトーンだが、どこかスタイリッシュで格好いい。

#8:Partners In Crime
ポップで、これまでのストロークスにはなかった新たなテイストの曲。ぴょんぴょん飛び跳ねるようなメロディが好きで、アルバム中最も気に入っている。こういった曲に出会えると、アルバムを手にとって良かったと心から思う。

#9:Chances
普段通り男性的なボーカルと、女性的なボーカルとが混在しており、不思議な雰囲気を持つ。落ち着いて聴ける曲である。2:57以降、曲の雰囲気が変わり終わるところが、Keaneの2ndの雰囲気に似ていると思った。

#10:Happy Ending
オーソドックスでストロークスらしい曲である。この曲が唐突に終わった後、#11がエンドロールのように流れ始める。

#11:Call It Fate, Call It Karma
古いフィルムに出てくる女性ボーカルのような雰囲気。初めはちゃんと聴いていなかったのだけれど、聴いてみると意外といい曲。アルバムの終わり方としては何とも湿っぽく、余韻が残る。


あらためて全曲聴いてみると、一見シンプルであり、全体的にレトロなテイストや外したテイストの曲が多いにも関わらず、細部に至るまでとても良く作りこまれていることが分かる。
こういった傾向は3rd以前には見られなかったものである。

1st、2ndはもはやストロークスとしてのクラシックであり、過去の作品として捉えるべきではないか。
別の記事でも書いたとおり、ストロークスらしさは変遷しており、それは否定されるべきものではない。
古いストロークスに魅力を感じ、もう一度あの頃の音楽を、と考えるファンは多いだろうが、現状のストロークスをみる限りそれは御門違いというものだろう。

音楽の嗜好というものは日々多様化・拡大しているため、一つのバンドが特定の傾向に縛られ続けることは、バンド自体を殺すことになりはしないか。
変わりゆく環境の中で確固とした個性を守り続けることに価値がないとはいわないが、少なくともストロークスにとっては、それがベストだとは思えない。
旧来のものを守り続けることが、彼らの求めるストロークスらしさではないだろう。

数多の憶測と共にバンドの解散が囁かれているが、本作を聴いて、これからもストロークスとしての変化を見ていたいと強く思った次第である。

2013/04/10

邦楽バンドが面白い/キュウソネコカミ・モルグモルマルモ

NAVERまとめサイト(下記リンク)にて紹介されていたバンドが総じて良い。


【邦楽】ネクストブレイク!2013年、今聴くべき邦楽ロックバンドまとめ
http://matome.naver.jp/odai/2136436459105340401


僕はどちらかというと洋楽に興味があるタイプで、邦楽バンドは、個人的に気に入っている少数のバンドや、少し古い曲しか聴くことがないのだけれど、たまにこうやって新しい邦楽バンドを開拓してみるのもなかなか面白い。

特に良いと感じたのは以下のバンド。
どちらも関西を中心に活動している。


キュウソネコカミ

 
サブカル女子/キュウソネコカミ

サブカル女子に対して、痛烈に毒づいているだけの曲。
ああサブカル女子だなあ…というワードをひたすら連発するテンポの良い歌詞が心地良い。
手作り感のあるPV。

さらに、手の届きそうな距離感。

DQNになりたい、40代で死にたい/キュウソネコカミ

非リア充を標榜する彼ら。
キュウソネコカミの曲が扱う対象は、抽象的で当たり障りの無いものではなく、かといって一部の人間にしか分からないような固有のものでもなく、一定数はいるであろう”知っている人”であれば、くすりと笑えるような、そんなほど良い距離感を持っているように感じる。



モルグモルマルモ
http://morgmolmalmo.official.jp/
 
タクラマカン砂漠/モルグモルマルモ

NAVERまとめにも書いてあるように、歌詞やメロディがフジファブリックっぽいと感じた。
”タクラマカン砂漠”という名称を用いたことに、何かしら理由があるのだろうか。
誰もがどこかで(主に学生時代の地理の授業なんかで)耳にしたことがある単語であろう。響きの面白さでチョイスしていると思われる。
砂漠をモチーフにした歌詞は、なかなかよく出来ている。

彼らを見ていて受けた印象は、”バンドメンバーが自分たち自身のやりたいことをやっているように見える”ということ。
世間に求められるものを作ろうとしてやっているのではなく、自分たちがやっていて楽しい音楽をやっているような印象。
音楽のジャンル的なものも出尽くして、流行り廃りを何度も繰り返して至っている現代において、”やりたいことやるのが一番じゃない”?的なところに落ち着いているのが彼らのスタンスであると思う。
確かに、一昔前のように”一発当ててロックスターに成り上がる”といったイメージは、現代的ではないように感じる。


キュウソネコカミ、モルグモルマルモ。両者とも、若手のバンドの割には曲のクオリティが高い。
今、興味を持った音楽はネットで簡単に手に入るし、参照できるサンプルも無数にある。
彼らが持つ”早熟なのに妙に高いクオリティ”というアンバランスさは、そういった環境に支えられているものだと思う。
中性的で敷居が高くない点も踏まえて、何とも現代的で良いなと感じた次第である。