2013/06/13

歌詞に当てられた焦点:Loser/Asian Kung-fu Generation


アジカンの新曲:LoserのPVが公開されている。
公式PVは下記URLより。

http://www.youtube.com/watch?v=RfBHVbo543o 

音源としては、先日リリースされたNANO-MUGENコンピレーション2013に収録されている。

この曲を初めて観たのは、NHKBSで放送されたザ・レコーディングという番組。
Beckのカバーということで、彼らにとっては新機軸の曲調。
イヤフォンで聴くと、いい意味でアジカンらしくない音を出している。

本作の歌詞は原曲のストレートな和訳ではなく相当に意訳が含まれているが、不思議と耳に残る。
率直に言って、ボーカル後藤氏の作詞スキルの高さを感じさせる一曲である。
「なう」というある意味新鮮なワードが出てきたり、直接的な皮肉や暗喩がふんだんに用いられていながらも、狙っている感がない(”なう”が新鮮かどうかは異論もあるだろうが、歌詞で用いられているのは新鮮に聴こえる)。
解釈は凡庸ではなく、適度にエッジが効いているが、気取った感じのいやらしさがない。

個人的に、アジカンの持つ魅力の一つは歌詞の秀逸さにあると思っている。

今でこそ”日本語ロック”というイメージが強いアジカンであるが、バンド活動の初期においては専ら英語詞による曲作りを行っていた。
メジャーデビュー以降の正式な音源は全て日本語である。
以前、後藤氏はNUMBER GIRLやEastern youthなどを引き合いに出して「日本語詞で曲を作ることの重要さ」を語っていた。
当時はあまり気にもとめておらず、「よくありそうな話」としか思っていなかったけれど、ここ最近の曲を聴いていると、歌詞の良さをしみじみと感じることが多い。
内容に共感するか否かは別の問題として、あくまで言葉の選択と配置の巧みさに対して。

「音楽で何かを表現する方法として、ラップはロックに比べて、そのリリックの負うところが大きい」といった発言もなされている。
「歌詞の占めるウエイトが大きいから」と。
これまでも「新世紀のラブソング」や「マシンガンと形容詞」のようにラップ調の曲はあったが、ここでさらにその傾向の強い「Loser」を選んできたのは、後藤氏の表現に対する意欲の現れであろう。

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