2013/05/27

バンドの秘めたポテンシャル/The Royal Concept

Summer Sonic 2013への出演も決まり、いよいよブレイク間近と見えるThe Royal Concept。
公式HPにて視聴できる新曲:On Our Wayはイントロこそ「Phoenix?」と思ったが、どっこい、これまでのイメージを覆す曲で驚かされる。


On Our Way(Teaser)/The Royal Concept
※下記URLのフル動画は”権利所有者によりブロック”されてしまい、観ることができない。公式サイトでも同様。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=S-vHlvj0KBY

一聴したところ、浮かんできたのはColdplayのアルバム:Mylo Xyloto。
どちらかというと内向的な趣でインドアな印象であったデビューEPとは違い、この曲は開放的でスケール感の大きさすら感じられる。

カップリングはこちら。


Naked & Dumb/The Royal Concept

小粒な一曲であるが、十分あり。
ミニマムなイントロは、ストロークスあたりのガレージロックからの影響を感じさせる。
彼らなりのオリジナリティはシンセの音か。
(どちらもiTunes日本版では未リリース)

一方、2月にリリース済のWorld On Fireも、またこれとは違ったテイストの曲であった。


World On Fire(Live In Basement)/The Royal Concept


デビューアルバムリリース前にして、この振り幅…!

よく言えば引き出しの多いバンドであり、悪くいえば方向性の散漫なバンドとも言えるだろう。
敢えてあげつらうようなことを言えば、The Royal Conceptの色というものがどういったものであるのか、いまいち掴めない。

しかしこれらの曲を聴いていると、そんな些細なことなどどうでも良くなってくる。
曲のキャッチーさやクオリティの高さは見てのとおり。
バンドの秘めたポテンシャルは未知数である。
期待度は高い。

The Royal Concept公式サイト
http://royalconceptband.com/onourway/

2013/05/16

稀有な名曲:She's Got Standards/The Rifles

何の根拠もなく、ただ単に感性に基づいた話であるのだが、個人的に、これぞブリティッシュロックの王道と考えている曲がある。
英国はロンドン出身のバンド:The RiflesのShe's Got Standardsという曲である。

以前はYoutubeにPVがアップされていたのだが、今はレコード会社の制限によって日本国内からの視聴ができないようになっている。

曲の視聴は下記URLリンク先にて。
http://www.youtube.com/watch?v=XvwX0iB-xBw

2006年発売のRock'in On 10月号の付録CDに収録されていた曲である(ちなみにThe Riflesの他にはLily Allen、Fly Leaf、Little Barrieなどが収録されていた)。

ちなみにブリティッシュロックとは何ぞやということはあまり深く考えておらず、ただ曲を聴いて”これぞ王道!”と思っただけのことなのだが、この曲がどうしても好きで、未だに”ハズレのない曲”としてたびたび聴いている。

徐々に勢いづいていくイントロのギターに英国バンドらしいボーカルの声。
3分程度の長さに、抑揚がうまく収まっている。

ハズレのない曲とはいつ何刻聴いてもその良さにゾクゾクするような曲のことをいっており、そういった曲というのは無論、いくつもあるわけではない。
どんなに好き好んで聴いている曲であっても、やはり普通は聴く時期と聞かない時期というものがあるだろう。
この曲はつまり、どういったタイミングで聴いてもその良さを実感できる、自分の感性にピタリとはまった稀有な曲なのである。

2013/05/14

混沌: Amok/Atoms For Peace

Atoms For Peace


今更感が満載で、1周どころか既に数周遅れな話題であることは請け合いなのだけれど、Atoms For PeaceのAmokを聴いた。

Radioheadは好きだし、Tom Yorkのソロも聴いていたのに、何故かこのアルバムだけは聴こうという発想がなく、音楽好きな友人からアルバムを買ったという報告を受けたときも当たり障りのない返事で聞き流していたのだが、ひょんなことから一聴して見事にはまってしまい、思わずiTunesストアで購入した。
たまたま街でかかっていたBGMが気になり、例のごとくshazamで読み取ったところ、本作1曲目のBefore Your Very Eyes...であったのである。
シングルカットされた#2:Defaultも、病み付きになる曲である。

Radioheadの中でも、個人的にはよく聴くKid AおよびAmnesiacの2作に近い雰囲気を持っており、非常に抽象的でありながら何度も聴かせる中毒性は見事としか言いようがない。
無機的な電子音主体の音作りでありながら、Tomの裏声と響くようなエフェクトが不思議と有機的な雰囲気を醸しだしており、暗い印象ではあるが冷徹な雰囲気でない。

Atoms Foe Peaceという”バンド”とこういった曲とがどうしても結びつかなかったのだけれど、以下のようなライブの様子を見ると、納得。
混沌。意図してやっているのか、無造作にやっているのか分からないが、一聴の価値あり。


And It Rained All Night/Atoms For Peace

どういったかたちで曲作りが行われているのかが、非常に興味深い。

2013/05/08

ファーストインプレッション:Modern Vampires Of The City/Vampire Weekend


http://www.vampireweekend.com/
Vampire Weekendの3rdアルバム:Modern Vampires Of The Cityがリリースされた。

本国アメリカでは上記画像のように発売日が5月13日へと延期されたが、日本では予定どおりリリースに至ったようである(先行リリースと謳われている)。


バンドとして初めて、外部プロデューサー(アリエル・レヒトシェイド)を起用しており、”オーガニックなサウンド”が売りという本作。
これまでとは違ってニューヨークではなくロサンゼルスで、ボーカルの録音は部屋の窓を開けて行われたそうである。

大きな方向転換はないものの、バンドとしての変化は見られる。
全体的には、豪華な音作りになっていると感じた。特に、スケール感の大きな曲(#2:Unbelievers)や強い威力を持った曲(#3:Stepや#4:Diane Young等、余裕でシングルカットできるような曲)の存在は、バンドが円熟しつつあること、またメジャーになったことを感じさせる。
ボーカルのエズラ・クーニグ曰く「年齢を重ねるほどクールになっていったウディ・アレンのように、歳をとるにつれて失われるエネルギーの代わりにエレガンスさを獲得する、そんな方法論を音楽に持ち込みたいと思った」とのこと。
前作のような若さやポップさは確かに影を潜めていると感じる。
エズラは今年で29歳。バンドとしても歳を重ね、転換期を迎えているということか。

アルバムの全曲は下記にて試聴可能。
http://hostess.co.jp/xl/vampireweekend/news/2013/05/002483.html




#1:Obvious Bicycleはアルバムの前評判どおりオーガニックなサウンドの一曲。穏やかにアルバムの始まりを告げる。
#2:Unbelieversは軽快なオルガンの音が何ともご機嫌な曲。ほのぼのとした出だしから軽快に抑揚を見せる曲調と、”I know I love you, and you love the sea”と高らかに歌い上げるボーカルはとても良い。
#6:Hannah Huntは、終盤、唐突に盛り上がりを見せるピアノの音が印象的。
#4:Diane Young、#10:Ya Heyはボーカルにかけたエフェクトが面白い。


まだ全ての曲を聴き込んでいないが、ファーストインプレッションは非常に良い。
オーガニックで有機的であるが、アルバムの空気は緩んだものではない。
むしろこれまで以上にスマートな作品ではないか。

PVやジャケットから感じられるものは、バンドの活動拠点であるニューヨークの姿。
本作は、これまで以上にその都会的な部分が押し出されており、それがアルバムのバックボーンに洗練されたイメージを与えている。
Vampire Weekendの魅力である平和的な雰囲気は変わらず保たれており、ところどころにくすぐったいような仕掛けも見られる。ジャンル不明とも言える曲調も健在。


クレバーでウィットに富んでいながら、一方で捻りやハズしも見られ、エッジも効いている。
この何ともハイセンスな感じが、やはりVampire Weekendの魅力であるなと思った。
余談であるが、Photo By Neal Boenzi/New York Timesとクレジットされたアルバムジャケットも格好いい。