2015/10/03

アップルミュージックと"音楽の幅"について

3ヶ月のトライアルでアップルミュージックを利用してみたが、数多くの音楽を無制限に聴ける環境というのはなかなか魅力的だと思った。
定額配信のサービスを利用することで、自らの音楽の幅は確実に広がったと思う。

新しい音楽に手を出しても、結局あまり聴かずにライブラリーの肥やしとなってしまうケースはよくある。
この点、アップルミュージックのようなサービスを利用していれば、配信されている音楽の”本格的な”つまみ食いができるので、気にせず新しい音楽に手を出せるのが良い。
CDショップに脚を運んだり、Youtubeなどでオンラインで視聴したりすることでも新しい音楽に触れることはできるけれど、これが無制限でiPhoneで完結してしまうというのは結構な利便性。
ただ単に聴くだけであれば様々な方法があるけれど、それを整った環境で利便性高く行えるという点にこの手のサービスの良さがあるのだろう。

またサービスの一環として、自身で登録した好きな音楽ジャンルやアーティストといった情報、過去の視聴歴に基づいた様々なプレイリストを提案してくるので、自分で探しているだけでは到底辿りつきそうにないような音楽に出会える機会を持てるのも良い(あまり精度が高いとは感じなかったが、想定外の曲に出会う機会を提供するという点では逆に良いかもしれない。ただし、既に持っているアルバムを薦めてくるのはどうにかならないか)。

ラインナップは、洋楽メインで聴く分には特に不満を感じなかった。ただし邦楽は難あり。
邦楽を多めに聴きたかったら、LINEミュージックやGoogle Play Music等、他のサービスを利用したほうが良いのではないかと思う。

細かいところでは、改善点も見られる。
もともとiTunesに入れていた曲とアップルミュージックからダウンロードした(オフラインで再生可とした)曲が混在している状況は違和感があるし、アーティスト名がカタカナ(例:David Bowieはデヴィットボウイ)になってしまう点などは個人的にかなり気になった。

さて、今日はそんなアップルミュージックを使用する中で、個人的に気になった音楽をいくつか挙げてみようと思う。


Parklife/Blur

初っ端から何故こんなメジャーどころを…といったところだが、実はBlurが未視聴だった。
Oasis大好きな自分としては、Blur=Oasisと対極にある、という勝手なイメージを作ってしまっており手を出す機会がなかったのですね。
ルックスよくて、器用そうで、小綺麗な感じが”何か違う”と思っていた。
でも聴いてみると全然悪くない。
特に気に入ったのはこのParklife。おちゃらけた感じで、まさにブリットポップ!といった独特の感じが好き。



Everything Is Embarrassing/Sky Ferreira

「夏の午後のダンスパーティ」というプレイリストの中にあった1曲。
アーティストも曲も、全然知らなかったけれど、この曲は聴いていてピンときた。
この曲収録のアルバムは2014年リリースで、昨年はサマーソニックにも来ていたらしい。
あまり今風な感じはしないのだけれど、開放的で、空間的な広さを感じさせる曲。
さわやかで良いですね。

前者は「知っていたけれど聴く機会のなかった曲」で、後者は「全くの初対面の曲」。
自身の”音楽の幅”で考えると、前者のような曲を聴くことで深さが増し、後者のような曲を聴くことで広さが拡大すると思う。
定額配信サービスは、自身の音楽の幅に深みと広がりを提供してくれるのである。

2015/05/30

アルバムジャケットについて:Wonder Future/ASIAN KUNG-FU GENERSTION

アジカンの新譜「Wonder Future」がリリースされた。
本作のジャケットは「Easter/復活祭」に続いて絵なし。真っ白。
これは自分の中では結構センセーショナルな出来事であった。


 Easter/ASIAN KUNG-FU GENERATION

そもそも、中村佑介さんの描くジャケットはアジカンの代名詞でもあり、デビューからずっと追いかけてきたアジカンのイメージとは切っても切り離せない存在である。
Easterのリリース時に真っ黒なジャケットを見て「アジカンもとうとうあのジャケットと決別したか…」と思ったのだが、どうも単純に「方針転換したので今後はイラストは使いません」という話ではないようで、アルバムをセルフプロデュースしたボーカル:ゴッチの意向により、本作には真っ白のジャケットを採用したとのことである。
ブログを見たところ中村さんとの関係は続いているようで、区切りをつけたわけではなさそう。
真っ黒のジャケットにバンド名を墓標のように浮き上がらせた「Easter/復活祭」は、曲名のとおり”復活”を意図していると、本人は語っている。
また、白いジャケットには「リスナーそれぞれが思い思いのジャケットを描いて欲しい」との意思を込めたとのこと。
それで、本作の初回購入特典はカラーペンとなっているらしい。

音楽の持つ魅力は単に聴こえる音のみに拠るものではなく、例えばCDのジャケットやバンドのビジュアルであったり、タイアップした映画やCMのイメージだったり、それを聴いた時の自分の心象であったり、様々なものから成立していると思うけれども、あらためて真っ白なジャケットを見て、色々と感じるところはある。

単色で塗っただけのシンプルなジャケットには様々な例があるが、”白”というチョイスは強烈なインパクトを持っている。
すぐに思い浮かぶのはやはり、The Beatlesのホワイトアルバム。
ホワイトアルバムは、ビートルズが既存のレーベルから離れ、自身で立ち上げたアップルレコードから初めてリリースした作品である。
真っ白いジャケットからは、新たなスタートといった印象を受ける。

あらためてアジカンのジャケットについて考える。
中村佑介氏のイラストは好きだったけれども、二次元であるが故にどうしてもイメージの広がりみたいなものがなくて、どこか無機質な印象を受けていたのも事実である。
自分の中でのこの傾向は特に、イラストがシンプルだった初期の作品で顕著だ。
例えば「君繋ファイブエム」は、全体を通して”青みがかったモノクロ”のイメージが強い。

イラストのない本作も十分に無機質であるが、イメージが与えられない分自分で想像するしかないわけで、結果としてイラストを用いていたこれまでのアルバムよりも余程、生気の感じられる作品になったと感じている。

Vo.ゴッチの日記:中村君と会食。アルバムのジャケットについて
http://6109.jp/akg_gotch/?year=20150521

ちなみにゴッチ自身は、中村氏に即興でジャケットを描いてもらった模様。

なお余談であるが、数あるジャケットの中で自分が一番好きなのは、シングルの「サイレン」。
白、黒、オレンジの三色からなるシンプルなものだが、曲のイメージをうまく表現できている。

2015/02/14

無条件に堪らない音楽/Real Estate

特段真新しさはないし地味と言ってもいいくらいなのだけれど、自分の音楽的嗜好のど真ん中を突いているのがReal Estate。
アメリカはニュージャージー州出身のインディーロックバンド。


Its Real/Real Estate



Talking Backwards/Real Estate

Had To Hear/Real Estate

全体的に力の抜けた雰囲気とか、郷愁を感じさせるメロディとか、もう何と入ったらよいのか分からないけれど、無条件に堪らない音楽である。

Real Estate(Wikipedia)

2015/01/20

図書館に関する饒舌な文章/Grizzly Bear

本好きにとっては言わずもがな、音楽好きにとっても図書館は宝の山である。
ここのところの休日は、時間が空けば近くの公共図書館に通っている。

置かれている資料がどういった基準で選ばれているのかは知らないが、洋邦問わずメジャーからマイナーまで、ジャンルも多彩に幅広く置かれているのが良い(まんべんなく置いてあるわけではないので、広く浅くといった感じ)。
古い洋楽に混ざりながら、Phoenixの最新作などが何気なく置かれているのも興味深い(Phoenixに関しては1stも2ndも3rdも置いていないのに、何故かBankrupt!だけが置いてあるといった状態であったりする。あれはきっと、誰かがリクエストして置いてもらっているのでしょうな。洋楽にハマったは良いけれど自分ではなかなかCDの買えない学生などが、気になるアーティストの最新作を手当たりしだいにリクエストしたに違いない…などと想像する)。

音楽好きには、ある特定のアーティストの音源を古いものから新しいものまで聴きこんで、そこから良作を見つけ、影響を受けた他の音源や類似のアーティストを発掘して…といったことをすることが少なからずあると思うのだけれど、そういった作業を行う時に、図書館はうってつけの場所である(場所といっても図書館にPCを持ち込んで端から順に読み込ませて…といったことはできないので、一度に5枚とか10枚とか借りて帰り、家でゆっくりライナーノーツを読みながら聴き込んだりするのである)。

とまあ、多少くどくなってしまったが何が言いたいかというと、たまたま何気なく手にとった作品の中に意図しない名盤が紛れ込んだりしているのは、もう無情の喜びなのである。図書館通いをしている者にとって、これは冥利につきる。

何故図書館でこういったことが起こるのか、例えばTSUTAYAなんかではだめなのかというと、これは微妙な差異であるが、レンタルショップと違って図書館は費用がかからないからである。図書館では、せっかく借りたのに良くなかったらどうしよう…とか細かいことは考えずに、手当たりしだいに気になったものをただ借りれば良い。名前は見たことあるけどちゃんと聴いたことのないバンドの音源などはうってつけである。適当にジャケ借りしても良い。大抵、お目当ての作品に混じって数枚は何だかよく分からないCDを借りたりするのだが、その中に隠れた名盤があったりする。大して意識していなかったところからやってくる思わぬ伏兵に、ただただ白旗を上げるのみである。

費用がかからない上、一度に15枚も貸してくれる太っ腹なところもあったりするので、図書館通いはやめられない。貸出期間もだいたい2週間と長いことが多い。

お目当ての作品さえ置いてあれば、図書館は明らかにレンタルショップを出し抜いている。欠点といえば、店舗数が少ない故に人によってはアクセスが悪いことと、大概各作品1枚しか置いていないので、人気のある作品になったりすると予約待ちが数ヶ月とか尋常ではないレベルになったりしていることか。こういった場合は諦めてTSUTAYAに行けば良い。

こんなに饒舌になっているのは、たまたま図書館で借りてきたGrizzly Bearのアルバム:Shieldsがすごく良かったからである。
特に#4:Yet Again。イントロのギターからして気が遠くなるほどの格好良さだが、哀愁漂うメロディがとても良くて、サビが耳から離れない。
この曲のように、伝統的な音楽性を根底に持ちながら様々な音楽的・文化的要素を盛り込み、音楽やそのジャンルの持つ幅を広げていく試みは、USインディーミュージックの醍醐味であると思う。
帯に書かれていた「USインディーの最高到達点」との文句に惹かれて手にとったのだが、これは大当たりであった。



Yet Again/Grizzly Bear

2014/11/11

泣きながら笑っているような/クリープハイプ

クリープハイプについて書きたいとずっと思っていたのだが、ちょうど良い機会が出来たので書いてみる。

というのも先日、情熱大陸で俳優の池松壮亮が特集されていたからである。
彼は、おとなしそうな外見に秘められた気骨ある演技が印象的な俳優だ。
特別詳しいわけではないのだが、暴力的な表現をさせたら若手髄一なのではないかと勝手に思っている。
PVに出演していたからであろうか、番組のBGMにはクリープハイプが流れていた。また、演技の練習中には、彼がクリープハイプのバンドTシャツを着ている姿も見られた。


さて、クリープハイプ。

”ボーカルの声が特徴的に高く、聴く人を選ぶ…”などとよく言われているが(実際、電車に乗っていて「クリープハイプのボーカルの声が…」と話しているグループに居合わせたことがある)、自分としては、一聴して抵抗なく受け入れられた。
上記のように声が特徴的だなどと言われると聴いてみたくなるものであり、アルバム「吹き零れる程のI、哀、愛」を手にとってみたところ、冒頭の「ラブホテル」があまりにもさわやかでキャッチーであったため、すぐにのめりこんでしまったのだ。

ボーカルの癖のある声とは裏腹に、曲調は全体的にポップでキャッチーで聴きやすく、良曲が多い。特に、アルバム冒頭の「ラブホテル」や、アネッサのCMに使用された「憂、燦々」などは、非常にさわやかな良曲である。

しかし、一筋縄ではいかない彼ら。
ポップでキャッチーな外見に包まれていながら、歌詞の内容が卑屈であったり、性的なものに対して開けっぴろげであったり、中身はなんだかドロドロしている。見た目明るくても、健全で真昼間な明るさとは違うのですね(「マルコ」みたいに平和な曲もあるので、全てがそうとは言わないけれど)。

 憂、燦々/クリープハイプ

見た目は鮮やかで明るいのに、中身は黒く混沌としている。
表面上の明るさはその内にある黒さを過度に際立たせ、グロテスクな印象すら抱かせる。
うまく表現できないが、泣きながら笑っているようなイメージである。
そんなバンドの世界観は「憂、燦々」といった言葉がうまく表現している。

色々と考えていて、Passion Pitに通じるところがあるな…などと思った。彼らは一言で言うと”明るい欝バンド”で、曲はキラキラしているのに歌詞はダーク(かつ生々しい)だったりするしており、その背景を知りながら聴いていると何とも辛い思いを感じさせる。

以前読んだ小説:ドグラ・マグラ(夢野久作・著)には、グロテスクな遺体を色鮮やかに非常に精緻に描写する場面があったが、Passion Pitにもこれと通じるものを感じる。
クリープハイプの明るさもまた然り。

 ラブホテル/クリープハイプ

ストレートに正統派なバンドよりも、見た目と中身がチグハグだったり、どこかしら癖のあるバンドの方が意外と印象に残ったりするものだなあ。

ちなみに「吹き零れる程のI、哀、愛」でいうと、一番のお気に入りは2曲目「あ」である(曲名が短すぎて、会話に持ち出す際に困ってしまう)。
出だしのメロディは”ハードめのロック”といった感じであるが、サビに入る手前「あ、そういえば思い出した…」の部分で唐突に、開放的な、哀愁を感じさせるメロディが流れるところがたまらなく好きなのである。

2014/11/03

必見のPV/OK Go


I Won't Let You Down/OK Go

OK Goといえば、PVのクオリティにただならぬこだわりを見せる陽気な奴らとの印象であるが、これはまさに必見。

エキストラ2000人が参加しているそうだが、一発撮りでこの完成度、スケール感。
撮影は千葉県にて、空中浮遊するドローンで行っているらしいが、これをミスなしでこなすってとにかくすごい。

メンバーも上手に踊ってるし、Perfume出てるし…(冒頭のAD役)。

他のPVは、YouTubeの公式チャンネルにて。
https://www.youtube.com/channel/UC194cPvPaGJjhJBEGwG6vxg

2014/09/19

気になるアーティスト/Ryan Adams

iTunes Festivalのラインナップを眺めていたら、一人、気になるアーティストを見つけた。
アメリカはノースカロライナ州出身のシンガーソングライター、Ryan Adamsである。


Everybody Knows/Ryan Adams

日本ではあまりメジャーでないようだが、一応ユニバーサルミュージックによるオフィシャルサイトがある(ただし更新は、2009年を最後に途絶えてしまっている模様)。
彼は2005年に来日し、フジロックフェスティバルに出演している(あいにくの悪天候とマイクのコンディションに機嫌を悪くしており、当日のプレイはちょっとした語り草になっている)。

Ryan Adamsインタビュー/Almost Fomous
http://www.almostfamous.jp/interviews/ryan_adams_2005.php

彼は、非常に多作である。
ミュージシャンとしてのキャリアはWhiskeytownというバンドのフロントマンを務めるところから始まっており、この時代に3枚のアルバムをリリースしている。
Wiskeytownを解散した後ソロに転じているが、その後、The Cardinalsというバンド名で発表したものを含め、合計14枚のアルバムを発表している(2005年には何と、年間に3枚ものアルバムをリリースしている!)。

上にリンクしたインタビューなんかを読んでいると破天荒で取っ付きにくく、粗暴な人物といった印象を抱かせるが、音楽の方はしっかりやっているようで好感が持てる。


Gimme Something Good/Ryan Adams

自分の中でのイメージは、Jack Whiteに近い。
オーソドックスなギターロックをベースにし、クラシカルなスタイルを持ち、少し捻りが効いている(キャラ的に)点などが共通しており、自分の好みにマッチしている。


New York, New York/Ryan Adams

このPVは冒頭にあるとおり2001年9月7日に撮影されている。時は9.11の4日前、後方に今はなきワールドトレードセンターの姿が見て取れる。

Ryan Adams discography
http://en.wikipedia.org/wiki/Ryan_Adams_discography

iTunes Festivalには日本時間で9月22日 5:00からの出演が予定されている。
http://www.contactmusic.com/article/ryan-adams-itunes-festival-2014_4329823


2014/08/10

USインディの良心/The National

アメリカはニューヨーク、ブルックリンのインディーズバンド:The Nationalに最近はまっている。

彼らを知るようになったきっかけは、AppleのCMで使われているEnglandという曲を聴いたことである。
CMを見て気になり調べたところ、The Nationalというバンドの曲であった(アルバム:High Violet収録)。
こういうとき、Shazamって便利ですね。CMが流れたときに、すぐさまiPhoneをTVにかざして曲を調べられる(結構お世話になっている)。

Chérie's Verse/Apple


CMのテーマは"旅"であるが、音楽のイメージが、壮大で異国的な雰囲気を感じさせる映像と上手くマッチしている。
このCMは1分程度で、音楽もボーカルの全く入っていないものであるが、原曲はMatt Berningerのバリトンが深く心地良く響き、後半に向かって静かに高まってゆく曲の構成と相まって、より壮大なイメージを感じさせるものとなっている。



England/The National


彼らは純粋にアメリカのインディーズバンドである。
メンバー5人はもともとオハイオ州・シンシナティの出身であるが、活動の拠点はブルックリンであり、バンドはブルックリンの音楽シーンを牽引するインディーズバンドとして紹介されている。
結成は1999年。これまでに6枚のアルバムをリリースしており、15年ほどのキャリアを持つ。

この曲が収録されたHigh Viletは彼らの5枚目のアルバムであり、本作と合わせて前作:Boxer(4th)、そして次作:Trouble Will Find Me(6th)を聴いたが、これがまたいずれも、すごく良い。
取り分け4thアルバムのBoxerなんて、アルバム全体を通してダークでクラシカルでしっとりとした、でも退屈でないロックを鳴らしており、信じられないくらい完成度の高い作品である。


Anyone's Gohst/The National


このバンドからは、"正統"、"堅実"、"良質"といったキーワードを連想する。
彼らが活動してきたこの15年間、自分の知らないところでThe Nationalは堅実に、でも着実な成果を積み上げてきており、確固とした存在感を持ち続けていたのである。
何故今までこのバンドのことを知らなかったのだろう…と悩ましく思ってしまう。

USのバンドってどうしてもUSらしさが抜けないものだと勝手に思っていたのだけれど、彼らの音楽を聞く限りそういったことは全く無くて、これまでの自分の偏見が誤っていたということに気付かされた。
"USインディの良心"と言われるのもうなずける。またひとつ、お気に入りのバンドが増えたなあと思う。

公式ホームページを見るとLiveツアーも精力的に行っており、数回の来日も果たしている模様。
次回作のリリース時には、来日するだろうか。
一度生で観てみたいものである。

The National
http://americanmary.com/

2013/09/11

アルバムレビュー:AM/Arctic Monkeys

9月4日に日本先行リリースされたArctic Monkeysの5thアルバム:AMを聴いている。

作品を重ねるごとに新たな一面を見せる彼らであるが、今作は、過去の作品に近い雰囲気を感じさせる曲がいくつか見られた。
音の印象や雰囲気の傾向は、Humbag(3rd)に近い(Humbag、世間的な評価はあまり高くないそうですね。個人的には好きなアルバムですが)。
そして、AlexのサイドプロジェクトであるThe Last Shadow Puppets、さらにはAlexのソロ作品であるSubmarineを思わせる一面もある。

本作を聴いてまず印象に残ったのは、リズム・コーラスの存在感と曲の幅広さ。
他アーティストが演奏に参加したりコーラスが多用されていたりと、曲の構成は以前に比べて複雑化している。
本作は、ライブでの再現や実際の演奏というよりも、アルバムを聴くことに重点を置いて作られた作品であると感じた。

一言で言うなら、アコースティックでどこか開放的であった前作と違い、今作はエレクトリックで内向的。
Suck It And Seeに見られたピーカンの砂漠のような明るいイメージはなく、全体的に暗い、夜の印象。
アルバムにコーラスとして参加しているQueens Of Stone AgeのJosh Hommeは「午前0時以降に聴くべき、セクシーな作品」といった発言をしているが、まさにそういった雰囲気を感じさせる。
一聴してすぐに好きになるようなアルバムではないが、じっくり聴き込むと、Arctic Monkeysのヒストリーの1ページを刻むしっかりとした存在感がある。
いわゆるスルメというやつである。




アルバムごとに新しくなっていたバンドのロゴは、前作と同じものであった(変わると思っていたのだけれど)。

以下に、第一印象からのアルバムレビューを書く。

#1:Do I Wanna Know?
1曲目は、先行リリースのシングル:Do I Wanna Know?から始まる。
Arctic Monkeysのアルバム中、最もスローテンポな幕開けである。
この曲に限らず、このアルバムには別れた恋人(または上手くいっていない恋人)に対する感情を歌った曲が多い。どうしてもAlexと、4年程付き合っていたAlexa Chungとの破局について考えてしまう。
#2:R U Mine?
シングル・ヴァージョンとは違う新たなアレンジ。アルバム収録にあたり再録はされていないようだが、ドラムの音量が大きくなっており、全体的にはっきりとした音質にリマスタリングされている。収録曲中、最もハードな曲。
#3:One For The Road
印象的なコーラスから始まる曲。#9:Why'd You Only Call Me When You're High?のように、真夜中から早朝にかけての時間帯を思わせる。
#4:Arabella
不気味なイントロに逆回転のギター音がまず、耳につく。イントロの重厚で怪しいメロディが格好いい。切れ味の良いサビもメリハリがあって良い。
#5:I Want It All
リズミカルでアップテンポな曲。ギターのメロディを聴いて、どこかで聴いたことがある…とずっとひっかかっていたのだが、音階こそ違えど、RadioheadのBonesという曲(アルバム:The Bendsの5曲目)のギターと似ている(サビのバックで流れているリードギターのメロディ)。歌詞中、The Rolling Stonesの2000 Light Years From Homeという曲が登場する。
#6:No.1 Party Anthem
Humbug好きにはたまらない1曲であろう。Secret DoorやCornerstoneに近い雰囲気を持っている。どこかしら、SmithWesternsのような曲。
#7:Mad Sounds
タイトルのとおり、まどろっこしい曲である。ゆっくりとした曲の雰囲気から考えると、アルバム中の位置づけは、前作でいうところの#11:Suck It And Seeか。これらを比較するだけで、本作が前作に比べていかにスローな作品であるかということが分かる。
#8:Fireside
Last Shadow Puppetsを感じさせる。短く刻むギターにラテンっぽいメロディ。どこか哀愁を感じさせる、徐々に上がっていく展開も良い。アルバムを聴いて、最初に好きになった曲である。
#9:Why'd You Only Call Me When You're High?
扱っている歌詞の内容もメロディも、アルバム中最も”今らしい”曲。時代を逆行するバンドのルックスとは違い、往年のArctic Monkeysらしい1曲であると感じた。
#10:Snap Out Of It
テンポよく、規則正しく刻まれるリズムにより規則正しく進んでいく、比較的はっきりとした曲。コーラスは多用されている。
#11:Knee Socks
凝った作りで、曲の展開は複雑に変化する。エフェクトをかけたコーラスも新しい。
#12:I Wanna Be Yours
スローな曲で幕を開け、スローな曲で幕を閉じる本作。
前半のハードな雰囲気とは打って変わって、どこか哀愁を漂わせる曲である。
#13:2013
日本盤に収録されたボーナストラック。アルバム前半のハードな曲達と同じグループに属するであろう1曲。「ボーナストラックくらい、アップテンポな曲を!」と思って少し期待していたのだが、今の彼らは、そういう曲は作らないようである。


バンドにとって5枚目のアルバムとなる本作。
例えばストロークスでいうと5枚目はComedown Machineに当たるのだが、それと比較してどうだろう。
真新しさがあるとはいえず、鉄板のヒットソングのように突き抜けた曲が収録されているわけでもない。既存のArctic Monkeysを期待して聴くと、間違いなく消化不良を起こしてしまうだろう。

ある意味、不満を感じるほどに、安定している。
でも逆に、この安定感こそがArctic Monkeysの凄さであると思う。
斜め上の方向を行く斬新さや思い切った音楽性の変化はないが、ゆるやかに、でも着実に、バンドとしての個性は強固になっている。
ルックスも含めて独自のスタイルを突き通す姿は、彼らに心酔するファンにとって心強い。

驚いたのが、Alex Turnerはまだ27歳であるということ。
この若さにしてこの円熟っぷり。

バンドが更なる変化を遂げ、これぞArctic Monkeysというものを築きあげていくところを、今後も見守っていきたいと思った次第である。

2013/08/27

軽妙でライトで、爽やかな小説:今夜、すべてのバーで/中島らも


とあるブログで作品の紹介記事を拝見し、興味を持った。
吉川英治文学新人賞を受賞した、中島らも氏の代表作である。


18歳から35際まで、アルコールとの濃密な日々を過ごした主人公、小島容(こじまいるる)が、遂にアルコールで肝臓を悪くして病院に入るところから、物語は始まる。
ふとしたきっかけによりアルコールを摂取する習慣にとり憑かれ、アル中に関する文献を肴に酒を飲み続けたというこの小島容は、病院でのわずかな(40日間の)療養生活によって、健全な人間らしさを取り戻していく。
その肉体を蝕み、危険な領域の一歩手前まで自分を連れて行ったアルコールからの脱却。
その過程において、容は過去の、そして現在の自分を取り巻くおかしくもどこか人間らしい幾人かの登場人物と接し、彼らについて、自分自身について、アルコールや薬物を取り巻く社会状況について、アルコールを摂取することについて、考える。

登場人物は皆、容を映し出す鏡のようである。
彼らは時に、ネガフィルムのように容を反転させたキャラクターに感じられるが、反転された彼らの存在により、容の姿はまるで版画のように浮かび上がってくる。


率直に言って、中性的で、シンプルで、どこか爽快な読後感を得られる作品であると感じた。
登場人物には存在感(インパクトがあるという意味ではなく、確かにいそうだという意味での)があり、親密さを感じさせる。
彼らの姿は、まるで自分の身の回りにいる誰かのように生き生きと描かれているため、この作品の登場人物からは確かな手応えというものを感じる。
それでいて、彼らから目を背けたいという感じは起こさせない。

この作品には、村上龍氏の小説のようにドロドロとした生臭い感触はなく、村上春樹氏の小説のように密度の濃い描写もないが、作者自身の実体験をモデルにしているところなど、彼らの作品に近い雰囲気はある(彼らは皆、同世代を生きた作家である)。
中島らも氏の書くこの小説は、どこかサブカルらしい雰囲気を持ちながらも、軽妙にライトで清々しい雰囲気に満ちている。
アル中という、一見すると饐えた臭いでも漂ってきそうな素材を扱っていながら、さらりと難なく読ませるあたりなど、この作品の特筆すべき魅力である(他でレビューを読んだりしていると、アル中に関する文献からの引用や、実在する家族に関する観察資料など、リアルで手応えのある情報が含まれており、それゆえにこの作品にはある種の重さがあるという意見もあるが、それらの存在があってもなお、軽妙で清々しい読後感を与えるところがこの作品の特筆すべき点である)。

以前、ある友人が、「爽快感のある小説を読みたい」としきりに言っていたが、彼にこそ、この作品を勧めたいと思う。
この作品は長編というくくりに入るだろうが、難なく一気に読んでしまった。

気持ちのいい、ほんのりと明るい読後感。おすすめである。
独特なタイトルは、作品の最後を読めばその意味を理解できる。
素敵な締めくくりである。

2013/07/31

くるりの再評価:さよならストレンジャー

ここ最近は、邦・洋問わず様々な音楽を聴いていた。
今日はその中から、特に良いなと思ったものについて書きたい。
なお、特に脈絡もなく聴いていたので、何故この曲をチョイスしたのかについて、胸を張って人に説明できるような理由は特にはないことを予め断っておく。


虹/くるり


今年の6月の、初夏に差し掛かるまでの梅雨の時期には、くるりをよく聴いていた。
早く夏よ来い…などと考えながら、はっぴいえんどの「夏なんです」を聴いていたことがきっかけである。
というのも、くるりの「春風」という曲が、はっぴいえんどの「風をあつめて」という曲に似ているということを、ネットで目にしたからである(確かに似ていると思う)。

久しぶりにくるりを聴いたら懐かしくなってしまい、久しぶりに彼らの1stアルバムである「さよならストレンジャー」を手にとった。

このアルバム、実に良い。

#1「ランチタイム」はタイトルから受ける印象のとおり穏やかで日常的な曲であるが、#2「虹」で、見せる風景は一気に開放的になる。
#3「オールドタイマー」は初期衝動のような疾走感のある曲。
#4「さよならストレンジャー」と#6「東京」は、初期くるりの代表曲と言って良いだろう。どちらもスローテンポな曲だが、1stにして、ここまで聴かせるメロディを作るのはすごい。「東京」の名を関する曲は数多あるが、くるりの「東京」は、個人的に好きな曲である。
#5「ハワイサーティーン」#8「葡萄園」のように実験的な曲もある。
#7「トランスファー」#9「7月の夜」はポップな佳作といった印象。
#12「ブルース」は、終わりの1曲に相応しいスケール感のある曲。穏やかに始まるイントロから、急に音圧が上がりイントロに入る部分が好き。

とまあ、多少べた褒めな感じもするが、この作品を聴いていて、一気にくるりのことが好きになってしまったのである。

音楽に興味を持ち始めた頃にもこのアルバムを聴いたことがあったのだけれど、当時の自分にはあまり良さが分からなかったことを覚えている(退屈で地味…などと感じていた)。
こういうことは非常によくあることなのだが、機会をあらためて聴いてみると、同じ作品から全く違った印象を受ける。当然評価も変わる。

収録作品の中でも特に良いと思ったのが、#2「虹」。
終盤のギターソロは、まさにロックといった感じであり、今まで自分がこの曲に抱いていたイメージは何だったのだろう…と、目からウロコが落ちる思いであった。
これは、紛れもないロックミュージックであると、そう思った。

この作品に続いて2nd、3rd…と聴いてみたが、巷で言われているとおり(そして多くの批判の対象になっているとおり)、くるりは作品ごとに毛色がまるで違う。
その中でもこの1stは、王道の(ベタな)ジャパニーズロックアルバムであるが、個人的にはくるりの中でも一番好きなアルバムだと思っている。

面白いなあ、くるり。

2013/06/26

次回作の傾向について:Do I Wanna Know?/Arctic Monkeys

Arctic Monkeysより、新曲:Do I Wanna Know?がリリースされた。

 Do I Wanna Know?(Official Video)/Arctic Monkeys

Youtubeにアップされた動画をブログに貼りつけると、大抵は再生が制限されてしまうのだが(vevoとか)、Arctic Monkeysは公式動画なのにきちんと再生できる。
この辺り、ネットを介して急速に流行した彼ららしいと考えるのは早計だろうか…?笑

曲の方向性は、直近の傾向を踏襲したものとなっている。
違いといえば、曲の持つイメージだろうか。

暗く、ミドルテンポで重厚。
PVを見るとまさにそうだが、この曲はかなり怪しげな雰囲気を醸しだしている。
初めて聴いたときは、R U Mine?と似たギターの音に、どこか3rdアルバム:Hambugを思わせる雰囲気を持った曲だなと思った。

アルバムSuck It And See以降、初の新曲シングル(アルバムに収録されていない単体曲としてのシングル)としてリリースされたR U Mine?は、PVこそモノクロであるが、曲自体はどこかアッパーな雰囲気を持っており、決して暗い曲ではなかった。


R U Mine?/Arctic Monkeys

なので、新曲:Do I Wanna Know?は、リーゼント以降(アレックスがリーゼントにして以降)の曲としては初めての暗い曲なのである。

Arctic Monkeysは自分の中でも1、2位を争うほど好きなバンドであるが、最近の傾向を見ていると新作を聴くのが少し怖いような気もする。
何度か記事を書いているThe Strokesとは違って、Arctic Monkeysはバンド自体のイメージ(ルックス的やスタイルのようなもの)が結構激しく変化しており、彼らがどこに向かかうのか、見ているだけでハラハラさせるものがある。
ちなみにSuck It And See以降の古き米国を思わせるロックなテイスト(Suck It And SeeのPVやジャケット絵のような、砂漠にバイクにマッチョが出てくるような陽気でタフな感じ)は結構気に入っていた。

 Evil Twin/Arctic Monekys

この曲はシングル:Suck It And Seeのカップリングであるが、かなり好き。
サビや間奏のうねるようなギターが格好良くて、何度も聴いた曲である。


Arctic Monkeysにはアルバムごとにある種の世界観のようなものがあるので、最近の傾向からすると、次作は骨太なロック+暗めのテイスト(無理やりまとめるならば、4th+3rdのテイスト)になるのだろうと考えられる。
アルバムごとに変化しているバンドのロゴについては、Do I Wanna Know?の最後に出てくる"AM"の文字のようになるのではないかと予想(現在のロゴは、公式HPのトップにて見ることができる)。

http://www.arcticmonkeys.com/splash/

2013/06/13

歌詞に当てられた焦点:Loser/Asian Kung-fu Generation


アジカンの新曲:LoserのPVが公開されている。
公式PVは下記URLより。

http://www.youtube.com/watch?v=RfBHVbo543o 

音源としては、先日リリースされたNANO-MUGENコンピレーション2013に収録されている。

この曲を初めて観たのは、NHKBSで放送されたザ・レコーディングという番組。
Beckのカバーということで、彼らにとっては新機軸の曲調。
イヤフォンで聴くと、いい意味でアジカンらしくない音を出している。

本作の歌詞は原曲のストレートな和訳ではなく相当に意訳が含まれているが、不思議と耳に残る。
率直に言って、ボーカル後藤氏の作詞スキルの高さを感じさせる一曲である。
「なう」というある意味新鮮なワードが出てきたり、直接的な皮肉や暗喩がふんだんに用いられていながらも、狙っている感がない(”なう”が新鮮かどうかは異論もあるだろうが、歌詞で用いられているのは新鮮に聴こえる)。
解釈は凡庸ではなく、適度にエッジが効いているが、気取った感じのいやらしさがない。

個人的に、アジカンの持つ魅力の一つは歌詞の秀逸さにあると思っている。

今でこそ”日本語ロック”というイメージが強いアジカンであるが、バンド活動の初期においては専ら英語詞による曲作りを行っていた。
メジャーデビュー以降の正式な音源は全て日本語である。
以前、後藤氏はNUMBER GIRLやEastern youthなどを引き合いに出して「日本語詞で曲を作ることの重要さ」を語っていた。
当時はあまり気にもとめておらず、「よくありそうな話」としか思っていなかったけれど、ここ最近の曲を聴いていると、歌詞の良さをしみじみと感じることが多い。
内容に共感するか否かは別の問題として、あくまで言葉の選択と配置の巧みさに対して。

「音楽で何かを表現する方法として、ラップはロックに比べて、そのリリックの負うところが大きい」といった発言もなされている。
「歌詞の占めるウエイトが大きいから」と。
これまでも「新世紀のラブソング」や「マシンガンと形容詞」のようにラップ調の曲はあったが、ここでさらにその傾向の強い「Loser」を選んできたのは、後藤氏の表現に対する意欲の現れであろう。

2013/05/27

バンドの秘めたポテンシャル/The Royal Concept

Summer Sonic 2013への出演も決まり、いよいよブレイク間近と見えるThe Royal Concept。
公式HPにて視聴できる新曲:On Our Wayはイントロこそ「Phoenix?」と思ったが、どっこい、これまでのイメージを覆す曲で驚かされる。


On Our Way(Teaser)/The Royal Concept
※下記URLのフル動画は”権利所有者によりブロック”されてしまい、観ることができない。公式サイトでも同様。
http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=S-vHlvj0KBY

一聴したところ、浮かんできたのはColdplayのアルバム:Mylo Xyloto。
どちらかというと内向的な趣でインドアな印象であったデビューEPとは違い、この曲は開放的でスケール感の大きさすら感じられる。

カップリングはこちら。


Naked & Dumb/The Royal Concept

小粒な一曲であるが、十分あり。
ミニマムなイントロは、ストロークスあたりのガレージロックからの影響を感じさせる。
彼らなりのオリジナリティはシンセの音か。
(どちらもiTunes日本版では未リリース)

一方、2月にリリース済のWorld On Fireも、またこれとは違ったテイストの曲であった。


World On Fire(Live In Basement)/The Royal Concept


デビューアルバムリリース前にして、この振り幅…!

よく言えば引き出しの多いバンドであり、悪くいえば方向性の散漫なバンドとも言えるだろう。
敢えてあげつらうようなことを言えば、The Royal Conceptの色というものがどういったものであるのか、いまいち掴めない。

しかしこれらの曲を聴いていると、そんな些細なことなどどうでも良くなってくる。
曲のキャッチーさやクオリティの高さは見てのとおり。
バンドの秘めたポテンシャルは未知数である。
期待度は高い。

The Royal Concept公式サイト
http://royalconceptband.com/onourway/

2013/05/16

稀有な名曲:She's Got Standards/The Rifles

何の根拠もなく、ただ単に感性に基づいた話であるのだが、個人的に、これぞブリティッシュロックの王道と考えている曲がある。
英国はロンドン出身のバンド:The RiflesのShe's Got Standardsという曲である。

以前はYoutubeにPVがアップされていたのだが、今はレコード会社の制限によって日本国内からの視聴ができないようになっている。

曲の視聴は下記URLリンク先にて。
http://www.youtube.com/watch?v=XvwX0iB-xBw

2006年発売のRock'in On 10月号の付録CDに収録されていた曲である(ちなみにThe Riflesの他にはLily Allen、Fly Leaf、Little Barrieなどが収録されていた)。

ちなみにブリティッシュロックとは何ぞやということはあまり深く考えておらず、ただ曲を聴いて”これぞ王道!”と思っただけのことなのだが、この曲がどうしても好きで、未だに”ハズレのない曲”としてたびたび聴いている。

徐々に勢いづいていくイントロのギターに英国バンドらしいボーカルの声。
3分程度の長さに、抑揚がうまく収まっている。

ハズレのない曲とはいつ何刻聴いてもその良さにゾクゾクするような曲のことをいっており、そういった曲というのは無論、いくつもあるわけではない。
どんなに好き好んで聴いている曲であっても、やはり普通は聴く時期と聞かない時期というものがあるだろう。
この曲はつまり、どういったタイミングで聴いてもその良さを実感できる、自分の感性にピタリとはまった稀有な曲なのである。

2013/05/14

混沌: Amok/Atoms For Peace

Atoms For Peace


今更感が満載で、1周どころか既に数周遅れな話題であることは請け合いなのだけれど、Atoms For PeaceのAmokを聴いた。

Radioheadは好きだし、Tom Yorkのソロも聴いていたのに、何故かこのアルバムだけは聴こうという発想がなく、音楽好きな友人からアルバムを買ったという報告を受けたときも当たり障りのない返事で聞き流していたのだが、ひょんなことから一聴して見事にはまってしまい、思わずiTunesストアで購入した。
たまたま街でかかっていたBGMが気になり、例のごとくshazamで読み取ったところ、本作1曲目のBefore Your Very Eyes...であったのである。
シングルカットされた#2:Defaultも、病み付きになる曲である。

Radioheadの中でも、個人的にはよく聴くKid AおよびAmnesiacの2作に近い雰囲気を持っており、非常に抽象的でありながら何度も聴かせる中毒性は見事としか言いようがない。
無機的な電子音主体の音作りでありながら、Tomの裏声と響くようなエフェクトが不思議と有機的な雰囲気を醸しだしており、暗い印象ではあるが冷徹な雰囲気でない。

Atoms Foe Peaceという”バンド”とこういった曲とがどうしても結びつかなかったのだけれど、以下のようなライブの様子を見ると、納得。
混沌。意図してやっているのか、無造作にやっているのか分からないが、一聴の価値あり。


And It Rained All Night/Atoms For Peace

どういったかたちで曲作りが行われているのかが、非常に興味深い。

2013/05/08

ファーストインプレッション:Modern Vampires Of The City/Vampire Weekend


http://www.vampireweekend.com/
Vampire Weekendの3rdアルバム:Modern Vampires Of The Cityがリリースされた。

本国アメリカでは上記画像のように発売日が5月13日へと延期されたが、日本では予定どおりリリースに至ったようである(先行リリースと謳われている)。


バンドとして初めて、外部プロデューサー(アリエル・レヒトシェイド)を起用しており、”オーガニックなサウンド”が売りという本作。
これまでとは違ってニューヨークではなくロサンゼルスで、ボーカルの録音は部屋の窓を開けて行われたそうである。

大きな方向転換はないものの、バンドとしての変化は見られる。
全体的には、豪華な音作りになっていると感じた。特に、スケール感の大きな曲(#2:Unbelievers)や強い威力を持った曲(#3:Stepや#4:Diane Young等、余裕でシングルカットできるような曲)の存在は、バンドが円熟しつつあること、またメジャーになったことを感じさせる。
ボーカルのエズラ・クーニグ曰く「年齢を重ねるほどクールになっていったウディ・アレンのように、歳をとるにつれて失われるエネルギーの代わりにエレガンスさを獲得する、そんな方法論を音楽に持ち込みたいと思った」とのこと。
前作のような若さやポップさは確かに影を潜めていると感じる。
エズラは今年で29歳。バンドとしても歳を重ね、転換期を迎えているということか。

アルバムの全曲は下記にて試聴可能。
http://hostess.co.jp/xl/vampireweekend/news/2013/05/002483.html




#1:Obvious Bicycleはアルバムの前評判どおりオーガニックなサウンドの一曲。穏やかにアルバムの始まりを告げる。
#2:Unbelieversは軽快なオルガンの音が何ともご機嫌な曲。ほのぼのとした出だしから軽快に抑揚を見せる曲調と、”I know I love you, and you love the sea”と高らかに歌い上げるボーカルはとても良い。
#6:Hannah Huntは、終盤、唐突に盛り上がりを見せるピアノの音が印象的。
#4:Diane Young、#10:Ya Heyはボーカルにかけたエフェクトが面白い。


まだ全ての曲を聴き込んでいないが、ファーストインプレッションは非常に良い。
オーガニックで有機的であるが、アルバムの空気は緩んだものではない。
むしろこれまで以上にスマートな作品ではないか。

PVやジャケットから感じられるものは、バンドの活動拠点であるニューヨークの姿。
本作は、これまで以上にその都会的な部分が押し出されており、それがアルバムのバックボーンに洗練されたイメージを与えている。
Vampire Weekendの魅力である平和的な雰囲気は変わらず保たれており、ところどころにくすぐったいような仕掛けも見られる。ジャンル不明とも言える曲調も健在。


クレバーでウィットに富んでいながら、一方で捻りやハズしも見られ、エッジも効いている。
この何ともハイセンスな感じが、やはりVampire Weekendの魅力であるなと思った。
余談であるが、Photo By Neal Boenzi/New York Timesとクレジットされたアルバムジャケットも格好いい。

2013/04/22

毒されそうな音楽/Foals

不穏なメロディが耳について離れない。
何の曲かと思っていたら、FoalsのBaloonsであった。

Baloons/Foals

公式のPVは以下のリンクからも。
http://www.youtube.com/watch?v=zHcOFmiswcQ
奇妙な動きもなかなかだが、間奏部分で流れるメロディが相当に印象に残る(上の動画で1:44以降)。
こういう曲を作るバンドってなかなかいないと思うのだ。

そして、Foalsといえば、この曲。


Cassius/Foals

こちらのPVもなかなか。天井からぶら下がった肉塊(心臓?)が何を意味しているのかは分からないが、バンドの特徴的なダンスも面白い。
どちらもデビュー作であるAntidotesより。
アルバムタイトルの意味は、解毒剤。
こんな曲を聴かされたら、逆に毒されそうな気がしないでもない。
ジャケットもなかなかに奇妙。

最近の曲は全くチェックしていなかったのだが、聴いてみるとどうも平凡になってしまっている気がする。
やはり、1stの頃の非凡な感じが良い。

最新アルバム:Holy Fireからの数曲は、以下のリンク(バンドの公式サイト)にて視聴できる。
http://www.foals.co.uk/video.htm

フォールズは、イングランドオックスフォード出身のロックバンド。テクニカル且つダンサブル曲調が持ち味。2008年に発表したアルバム『アンチドーツ 』でUKチャート3位を獲得。ブラーやR.E.M.等の前座も経験している。(Wikipediaより) 

2013/04/21

最近のブーム:Vampire Weekend

http://www.vampireweekend.com/

Vampire Weekendにハマっている。
ごちゃごちゃして有機的で、時に優美で、エッジの聴いている曲は良いし、バック・トゥ・ザ・フューチャーとか言われているボーカルのルックスも良し、ジャケットや公式サイト等含めたイメージも格好いい。
特に気に入っているのは、以下のPV。

Cousins/Vampire Weekend

また、今年のコーチェラでのライブの様子も、Youtubeにアップされている。



さらに、発売日が1週間ほど延期になり、5月13日にリリースされる予定の3rdアルバム:Modern Vampires Of The Cityより、2曲の新曲が先行公開されている(冒頭リンクの公式サイトにて、2曲とも視聴可能)。
古きアメリカンロックの雰囲気に、彼ららしい畳み掛けるようなリズム、不穏な管楽器の音を乗せたDiane Young、クラシカルでノスタルジックな雰囲気で、彼らには珍しいストレートな良曲であるStep。

新作が楽しみでならない。

2013/04/18

アルバムレビュー:Comedown Machine/The Strokes



Comedown Machine、傑作である。
リリースされてからというもの、安定して聴き続けている。

本作と同じ傾向を持つ前作:Anglesは、当初、真新しさと意外性によって興味を引くものであったが、長い期間に渡って聴き続けられるものではなかった。
特に気に入った#2:Under Cover of Darknessは何度も繰り返し聴いたが、しばらく経つとそれにも飽きてしまい、その後、アルバムを聴こうとする機会はあまりなかった。
バンドのイメージを覆す音楽性に革新性こそ感じたが、アルバム全体としてまとまりがなく、その完成度は一つの作品として長い間寄り添うことには耐えられなかったのだ(まとまりのない点は、Anglesというタイトルから考えると批判すべきところではないかもしれないが)。

今作はどうであろう。
以前書いたように、パッケージングは至ってシンプルであり、新しく撮られたPVもないため、アルバムに対する視覚的なイメージはジャケットに用いられている赤い色くらい浮かばない。
しかし、それが逆に曲ごとへの関心を際立たせるのか、全体としての印象は悪くない。
逆説的であるが、曲ごとの繋がりがない故に作品としてうまくまとまっているとも感じる。
アルバムを通して収録された順に聴くようなものでもないだろうが、なぜかシャッフルする気になれない。
言わずもがな、ストロークスの他のアルバムと合わせて聴こうという気にもならない。

それくらい、一つの作品としての存在感が大きいと感じた。

バンドのメンバーが各々のスタイルを持って曲を作り始めた前作からの手法が、ようやく身を結んだといったところか。
曲ごとがバラバラでうまくまとまらなかった前作とは違い、本作はそういった手法をバンドの色としてうまく昇華できている。

各曲のレビューを書く。


#1:Tap Out
曲の始まりに挿入されるギターの音が、まず、1stアルバム:Is This It?の一曲目:Is This Itを思わせる。無機質に、忙しなく鳴らされるギターのリズムに、緩慢なメロディ。当初、背景には不穏な雰囲気の電子音が流れているのだが、サビの前でそれらがすっと消え、急に音がクリアになるところが気に入っている。落ち着いていてシンプルな曲のようでありながら、よく聴くと凝ったつくりをしていることが分かる。

#2:All The Time
意外性のある一曲目に対して、安定的でストロークスらしい曲。懐古的である。イントロのギターやサビのメロディなど、旧来のストロークスを思わせる。アルバムの先行シングルでありながら、良い意味で際立った存在感がない。

#3:One Way Trigger
テンポの良いラテンテイストの曲。ささやくようにスッと入ってくるイントロが、この曲のスケール感を大きく感じさせる。初めて聴いたときは癖の強い曲だと思ったが、何度も聴いているうちに馴染んできた。初回のサビの前、少し間を開けてカチカチと鳴らすところが駆動する機械のようであり気に入っている。Julian Casablancasの公式サイトにアップされていたイメージ画像(画像のリンクは切れているが、バンドの公式サイトにて閲覧可能)のごとく、荒野を駆け抜ける少しレトロなイメージ。

#4:Welcome To Japan
怪しげな印象に一聴してはまった曲。Japanと聞いて、電飾の盛んな新宿あたりの繁華街をイメージした(喧騒ではなく、あくまで映像として)。サビのメロディやジュリアンの囁き(Oh welcome to Japan! Scuba-dancing! Touch down!)は癖になる。

#5:80's Comedown Machine
アルバム中最もスローなテンポの曲。深く潜っているかのような感触がある。雰囲気は3rdアルバムの#7:Ask Me Anythigに似ている(聴き比べてみると、こちらの曲の方が余程複雑な造りをしており、図らずもバンドの変化を感じることとなった。3rdアルバムはゴテゴテしたイメージであったのだが)。

#6:50/50
アップテンポで格好いい。急かすようなギターと、合いの手のように少し遅れて入るギターとの合わせが心地よい。曲の雰囲気は1stの9曲目:New York City Copsに近いものがある。

#7:Slow Animals
シックな雰囲気の曲。全体的に暗いトーンだが、どこかスタイリッシュで格好いい。

#8:Partners In Crime
ポップで、これまでのストロークスにはなかった新たなテイストの曲。ぴょんぴょん飛び跳ねるようなメロディが好きで、アルバム中最も気に入っている。こういった曲に出会えると、アルバムを手にとって良かったと心から思う。

#9:Chances
普段通り男性的なボーカルと、女性的なボーカルとが混在しており、不思議な雰囲気を持つ。落ち着いて聴ける曲である。2:57以降、曲の雰囲気が変わり終わるところが、Keaneの2ndの雰囲気に似ていると思った。

#10:Happy Ending
オーソドックスでストロークスらしい曲である。この曲が唐突に終わった後、#11がエンドロールのように流れ始める。

#11:Call It Fate, Call It Karma
古いフィルムに出てくる女性ボーカルのような雰囲気。初めはちゃんと聴いていなかったのだけれど、聴いてみると意外といい曲。アルバムの終わり方としては何とも湿っぽく、余韻が残る。


あらためて全曲聴いてみると、一見シンプルであり、全体的にレトロなテイストや外したテイストの曲が多いにも関わらず、細部に至るまでとても良く作りこまれていることが分かる。
こういった傾向は3rd以前には見られなかったものである。

1st、2ndはもはやストロークスとしてのクラシックであり、過去の作品として捉えるべきではないか。
別の記事でも書いたとおり、ストロークスらしさは変遷しており、それは否定されるべきものではない。
古いストロークスに魅力を感じ、もう一度あの頃の音楽を、と考えるファンは多いだろうが、現状のストロークスをみる限りそれは御門違いというものだろう。

音楽の嗜好というものは日々多様化・拡大しているため、一つのバンドが特定の傾向に縛られ続けることは、バンド自体を殺すことになりはしないか。
変わりゆく環境の中で確固とした個性を守り続けることに価値がないとはいわないが、少なくともストロークスにとっては、それがベストだとは思えない。
旧来のものを守り続けることが、彼らの求めるストロークスらしさではないだろう。

数多の憶測と共にバンドの解散が囁かれているが、本作を聴いて、これからもストロークスとしての変化を見ていたいと強く思った次第である。